2002年10月25日大山 縦走路


秋晴れが約束された25日、久しぶりに大山縦走路に挑戦した。
始めて縦走したのは小学校5年の夏休みに父につれられた始めての大山登山の時で30数年前になる。
当時は夏山登山道を登り縦走して砂すべりを元谷に下山するのが一般的であった。
今なら信じられないが当時は特に危険とは感じなかった。それから幾度となく縦走したが縦走路が
立ち入り禁止なって以来ひさしぶりだ。

大山寺の紅葉はこれからだ。登るにつれてブナが色づいてくるが枯れたようになっている。
今年もいまいちのようだ。



六合目から

駆け上がるように1時間30分で頂上へ。頂上小屋の発電用の風車は冬に備えてとりはずされている。
今年の冬はそのままだったがやはりトラブルがあったのだろう。




立ち入り禁止のロープをくぐって縦走路へ足を踏み入れる。とはいっても少し先の三角点には大勢の
登山者が群れている。とやかく言われたくないのでみんなが引き返したところをねらって先に進む。
らくだの背までの稜線は細いといっても助走路にすぎない。

すぐに核心部にでる。次のピークのザレた、カミソリの刃のような所へロープが下がっている。
ただロープのある鞍部まで微妙な下りがある。思いがけず膝が笑って力が入らない。
ちょっと立ち止まって深呼吸をする。南無妙法蓮華経と唱えながらロープをつかむ。
足元から小石が南壁と北壁両側へ音を立てて落ちる。ロープをたぐって体をよじ揚げる。安全地帯で
一息つく、のどがからからだ。

しかし、本当の核心部は目の前にあった。規模は小さいがこんどはロープがない。その代わりむこうの
ピークにフィックス用のボルトが見えるがロープの用意のない自分には何の慰めにもならない。
覚悟を決めて歯を食いしばって一歩々々、足元だけを見て行く。
稜線の両側の奈落の底に石がザーザー落ちる。ボルトを掴んだときは全身の力が抜け
た。


右が三角点、中が頂上、左のピークの向こうにロープがある、手前の赤く見えるのがボルト

ここで始めて写真を撮っていなかった事に気づいた。しまったと思ったが写真に命はかけれない。
ここから先、剣ヶ峰までは慎重に進めば問題はなかった。
長く感じたが剣ヶ峰で時計を見たら15分しか経っていなかった。



剣ヶ峰1729メートル中国地方最高峰から弥山を望む


剣ヶ峰 昭和41年 10歳の私

槍ヶ峰の分岐まで部分的に悪場はあるので気が抜けない。分岐に天狗ヶ峰と書いた石があるが
一部の地図ではユートビア側に下った1636メートルを天狗ヶ峰としている。



天狗ヶ峰 槍尾根との分岐


1636メートル峰、象ヶ鼻、ユートピア小屋へ続く、遠くに矢筈ヶ山、甲ヶ山


紅葉している宝珠尾根

ユートピア小屋へ1時間で着いたが最後まで気が抜けず歩くことに集中していたのでくたくたになった。
三鈷峰で展望を満喫した後宝珠尾根のブナの紅葉を楽しみながら下った。




付記 
ラクダの背は無理をしないほうがいい。ロープを越えてから進めなくなって引き返すのは至難の業となる。
ロープは痛んでいる。バランスをとるだけでたよってはいけない。ボルトもグラグラしている。
剣ヶ峰から天狗ヶ峰そしてユートピア小屋までもけっしてあなどれない。
宝珠尾根も崩壊が進み部分的に悪い所がある。上宝珠越から下降禁止の札はあるが(当時、今はない)
砂すべりを下山したほうが楽だ。ただし落石には十分な注意が必要だ。


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